山口産業保健総合支援センターメールマガジン第180号

投稿者: | 2023-07-04

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山口産保メールマガジン
第180号:2023.07.04
発行:山口産業保健総合支援センター 所長 赤川 悦夫
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INDEX
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■1 産業保健相談員のコラム NEW
■2 令和5年度研修・セミナーのご案内 8月・9月分
■3 令和5年度Web研修・セミナーのご案内 8月・9月分
■4 情報提供【厚生労働省情報他】★新掲載
■5 山口産業保健総合支援センター事業のお知らせ
■6 情報提供 ★年間掲載

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■1 産業保健相談員のコラム 清藤 正裕 
    テーマ:労働衛生3管理
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 労働衛生対策を進めるにあたって書物を見ると必ず目にする言葉が、労働衛生3管理、
すなわち、作業環境管理、作業管理、健康管理と体制の確立です。この3管理を有機溶剤
中毒予防規則や特定化学物質障害防止規則等の特別則の適用を受ける化学物質について考
えてみたいと思います。
 作業環境管理は作業環境測定による作業環境管理です。有機溶剤、第1類及び第2類の
特定化学物質、粉じん、石綿、放射性物質取扱い作業室等の指定作業場は、第1種作業環
境測定士による測定が求められています。その測定及び評価は測定則基準及び評価基準に
よって行われます。作業環境測定は、作業場所が作業場測定対象有害物質に汚染されてい
るかどうかの評価を行うものです。空気中の濃度を測定し、数値的に変換して第1管理区
分(管理良好)、第2管理区分、第3管理区分(管理不良)の3分類に評価して、作業環境が
良好かどうかを確認するものです。
 作業環境評価は空気中の濃度を統計的に処理します。従って母集団がきちんと確立され
なければ測定の意味をなしません。測定対象物質を通常の作業状態で測定することが重要
となります。この作業環境測定結果の記録の保存は、発がん性のあるとして定められてい
る「特別管理物質」については30年間の保存が必要です。特別則の適用を受ける化学物質
は発がん性等の有害性が重篤な物質です。
 健康管理の要である健康診断は、使用している化学物質によって健診項目が区分されそ
の項目を行うことになっています。健康診断結果に基づき、有所見者に対しては適切な事
後措置を行うものです。特化則の適用を受ける特定化学物質の中には、疾病の発症が重篤
で遅発的な物質もあります。作業環境測定と同様に、発がん性のある「特別管理物質」は
健康診断結果の記録の保存を30年間としています。
特別則の適用を受ける化学物質の作業管理は、作業環境測定の結果第3管理区分に評価さ
れた場合において、局所排気装置等の設備の改善並びに作業方法の改善等を施し、第1管
理区分又は第2管理区分になるようにすることです。しかし、基本は作業者が有害化学物
質のばく露を受けないようにするために、有害性の少ない化学物質の使用、作業者が直接
有害物質に接触しない作業方法を検討することになります。一部の作業では保護具の使用
が認められていますが、保護具はあくまでも設備対策の補助的な露防止対策となります。
 この3管理については、労働衛生に係わっているスタッフの皆さんは、ほぼご存じのこ
とかと思います。この3管理を円滑に効果的に進めるためには、管理体制の整備が欠かせ
ません。事業場規模が50人以上の場合は、産業医、衛生管理者、安全管理者の選任が義務
づけられています。10人以上50人未満の事業場は、安全衛生推進者(衛生推進者)の選任が
義務づけられています。
この3管理は、作業環境と作業環境は作業現場において、健康管理は衛生管理者の所属す
る衛生スタッフ部門(または総務人事部)で管理されていると思います。このことについ
ては別に問題はないのですが、3管理がしっかりと連携が保たれているかどうかが問題と
なります。労働衛生対策を進める上で、必ず管理体制の確立が求められていますが、この
確立の意味は、3管理の連携を保つための組織体制のことをいっています。
 連携がとれなかった例を2つ述べます。
例1
 ある工場において、有機溶剤の特殊健康診断において使用していない有機溶剤の健診結
果が戻ってきました、不審に思って衛生管理者に問いますと健診機関に依頼するとき、変
更前の有機溶剤で依頼していたことが分かったのです。しかも、馬尿酸で有所見となって
いますので、健診機関に照会してもはっきりした返答は得られ無かったようです。有機溶
剤を使用していなくても清涼飲料水の飲用後に尿検査を受ければ代謝物が出ることがある
ので注意が必要です。
例2
 ある工場の産業医が有機溶剤使用者の健康診断結果を確認したところ、尿の代謝物検査
に有所見がある状態が3年間続いているのに気づきました。衛生管理者に指示をして作業
環境測定結果を確認すると何れの年(6回の作業環境測定)も管理区分が第1管理区に評価
されていました。実際の現場を確認すると、局所排気装置のフードの位置が作業位置から
離れていたり、作業者は軍手で有機溶剤を取扱っていることが判明したのです。
それぞれの立場において労働衛対策を行っていても、その結果が果たして正当なものかど
うかは、横の連携がとれて初めて分かるものです。衛生委員会がその場所だということで
す、健康診断結果作業環境測定結果を衛生委員会で報告し、それぞれの立場で管理の状態
の健全性を確認して初めて体制の確保ができることになり、効果的な労働衛生対策の推進
となるのです。

               産業保健相談員 労働衛生関係法令担当 清藤 正裕

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■2 令和5年度 産業保健関係者向け研修・セミナー(8月・9月)
     −山口県内、各研修会場で開催します−
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15テーマ:「産業保健実務のトラブルとその防止策の基本について」
 内容 :法改正で産業医の専門性・中立性・独立性という基本的性質が強化された。
     産業保健実務のトラブル防止について、産業医の活用と留意点から考えます。
 日時 :令和5年8月8日(火)14:00〜16:00
 講師 :山口大学保健管理センター安全衛生マネジメント部門 准教授・部門長 森本 宏志
 会場 :ココランド山口・宇部 2F リベルテ

16テーマ:「職場のメンタルヘルス〜ストレスコーピングと心理的安全性〜」
 内容 :自己保健義務・安全配慮義務をはたす努力の一助として、自己のストレス対応
     法の拡大や、職場での居場所作りを模索しませんか?
 日時 :令和5年8月10日(木)13:30〜15:30
 講師 :社会医療法人松涛会 教育担当部長 小西 孝子
 会場 :周南地域地場産業振興センター 会議室3

17テーマ:「職場のメンタルヘルス対策 おかしいな?」と感じた時の声のかけ方・話し方
     〜社員の心の不調に気づいた時の対処法〜」
 内容 :経営者や担当者だからこそ気づく社員の変化「なんとなく元気がないな、少し
     様子がおかしいな…」気づいても、どう対応して良いのかわからない。そんな
     悩みを少人数の演習で具体的に解決するヒントにして頂きたい内容です。
 日時 :令和5年8月21日(月)13:30〜15:30
 講師 :専門学校YICグループ総合支援室室長 公認心理師 山下 清可
 会場 :山口県セミナーパーク 研修室204号

18テーマ:「職場のメンタルヘルス対策〜セルフケアとラインケア〜」
 内容 :労働者自身が行うセルフケアの方法と管理監督者等の上司が行うラインケアの
     方法、その2つのケアが職場で成立するカギについてもお話します。働く皆さん
     に知って頂きたい内容です。
 日時 :令和5年8月23日(水)13:30〜15:30
 講師 :優穏空間 Selfcare Lab 産業保健師 待鳥 千恵美
 会場 :海峡メッセ下関 804号会議室

19テーマ:「職場のストレスからくる不適応への理解と支援
      〜メンタル不調者への話の聞き方、ケアの仕方〜」
 内容 :職場のストレスから、心身の不調を訴えている人の支援を考える時、まず必要
     なことは本人の心理状態や背景・経緯を理解することです。そのために何をど
     のように聞いていったらよいのかポイントを押さえた上で、支援内容を考えます。
 日時 :令和5年9月8日(金)13:30〜15:30
 講師 :山口県立大学 社会福祉学科 准教授 大石 由起子
 会場 :パルトピアやまぐち 第1会議室

20テーマ:「事業場のメンタルヘルスについて 〜 精神科医の視点から 〜」
 内容 :精神科医から見た職場のメンタルヘルスについて考えていきたいと思います。
 日時 :令和5年9月13日(水)14:00〜16:00
 講師 :山口県立こころの医療センター 部長 角田 武久
 会場 :周南地域地場産業振興センター 会議室3

21テーマ:「治療と仕事の両立のため企業にできる支援とは?」
 内容 :『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』の内容を知る
     こと。事例を参考に治療を受けながら安心して働き続けることができる職場づ
     くりを検討していきましょう。
 日時 :令和5年9月27日(水)13:30〜15:30
 講師 :特定社会保険労務士 阿部 純子
 会場 :ココランド山口・宇部 2F リベルテ

 https://www.yamaguchis.johas.go.jp/seminar.html#B23-15

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■3 令和5年度 Web研修・セミナー(8月・9月)
     −Zoomを使って開催します−
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9テーマ:「受動喫煙防止対策(環境測定と分煙や換気の基本)」
 内容 :改正健康増進法の要点を説明し、受動喫煙防止対策の活動において、環境測定
     喫煙場所のあり方および分煙や換気といった機械的措置を中心に解説する。
 日時 :令和5年8月4日(金)14:00〜15:30
 講師 :山口大学大学院創成科学研究科 教授 望月 信介

10テーマ:「「パワハラ防止に役立つアンガーマネジメント」
     〜『怒る』や『叱る』ポイントを知り、上手に伝えましょう〜」
 内容 :怒りとパワハラの関係性や叱るポイントを知り、職場のコミュニケーションの
     改善や生産性の向上にも繋げましょう。(正しい知識を持ち、互いを尊重し、
     感情コントロールができるとパワハラ防止に役立ちます)
 日時 :令和5年8月9日(水)14:00〜15:30
 講師 :Brightep 産業カウンセラー アンガーマネジメントコンサルタント 山根 美代子

11テーマ:「リワーク支援を利用してみませんか?
     〜メンタル疾患による休職者の職場復帰支援〜」
 内容 :山口障害者職業センターのリワーク支援の取り組みについてご説明します。遠
     隔地の方も利用しやすいよう、自宅での受講をベースとした「在宅リワーク」
     を令和4年より開始しています。
 日時 :令和5年8月18日(金)14:00〜15:30
 講師 :山口障害者職業センター 障害者職業カウンセラー 見城 圭美

12テーマ:「ハラスメント防止を学ぶ〜アンガーマネジメントを使って〜」
 内容 :アンガーマネジメントを使った感情のコントロールを学びます。パワハラ防止
     に必要なことは、法律という「理屈」と、怒りという「感情」の2面から向き
     合う必要があり、働く環境にこれまでなかなか成果を上げることのできなかっ
     た手法に向き合います。また、コミニュケーションを円滑に行うテクニックも
     お伝えします。
 日時 :令和5年8月29日(火)14:00〜15:30
 講師 :コーチ和幸 代表 アンガーマネジメント&叱り方ファシリテイター 植代 智子

13テーマ:「騒音障害対策」
 内容 :騒音障害防止のためのガイドライン見直し方針(令和4年3月22日付け)改訂
 日時 :令和5年9月4日(月)14:00〜15:30
 講師 :山口大学大学院創成科学研究科 教授 奥田 昌之

14テーマ:「からだの健康は歯とお口から」
 内容 :からだの健康と歯とお口の健康は密接な関係があります。いつまでも元気に過
     ごすために歯周病対策についてお話しします。
 日時 :令和5年9月14日(木)14:00〜15:30
 講師 :山口県歯科医師会医師 地域保健委員会委員

15テーマ:「ハラスメントの防止と対応」
 内容 :職場でハラスメントが起きないよう、また起きた時の対応、相談窓口の役割、
     相談対応の流れについてお話しします。
 日時 :令和5年9月19日(火)14:00〜15:30
 講師 :産業カウンセラー 益田 幾久江

16テーマ:「不妊予防支援パッケージ〜ライフステージに応じた女性の健康推進策について〜」
 内容 :女性の健康課題(ライフステージや、生活環境に寄り添った支援について)
     男性の更年期障害についても考えてみましょう
 日時 :令和5年9月25日(月)14:00〜15:30
 講師 :山口産業保健総合支援センター(産業保健専門職)保健師 岸野 朝子

 https://www.yamaguchis.johas.go.jp/m-webseminar.html

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■4 情報提供 【厚生労働省情報他】★新掲載
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1.令和5年度「安全衛生に係る優良事業場、団体又は功労者に対する厚生労働大臣表彰」
  の受賞者を決定しました
 https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001107670.pdf

2.働き方改革PR動画「はたらきかたススメ」シリーズ第1弾を公開
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33876.html

3.令和4年度「過労死等の労災補償状況」を公表します
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33879.html

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■5 山口産業保健総合支援センター事業のお知らせ
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★治療と仕事の両立支援(無料)
  当センターでは、「がん、脳卒中などの疾病を抱える労働者に対して、適切な就業上
 の措置や治療に対する配慮を行い、治療と仕事を両立できるようにするための事業場に
 おける労働者への支援」のお手伝いをいたします。
(1)産業保健担当者向け専門的研修
 産業保健スタッフ、人事労務担当者等が具体的に両立支援に取り組むことができるよう
 産業保健スタッフ等を対象とした専門的かつ実践的な研修を実施します。

(2)啓発セミナー
 「事業場における治療と仕事の両立支援のガイドライン」等の普及・啓発を目的に事業
 者等を対象としたセミナーを実施します。

(3)個別訪問支援
 両立支援に取組む事業場等からの支援要請を受けて、両立支援促進員(社会保険労務士
 等)が事業場に訪問し、相談や職場環境整備(体制づくり、規程・制度整備等)、管理
 監督者や労働者に対する治療と仕事への理解を促す教育を実施します。

(4)個別調整支援
 事業場と労働者(患者)の間の治療と仕事の両立に関する調整支援(両立支援プラン、
 職場復帰支援プラン作成の助言等)を行ないます。
 この支援は、労働者(患者)又は企業担当者等からの申出により実施します。
 支援の実施に当たっては、ご本人の同意書が必要になります。
 詳しくは、当センターHPをご覧ください。
 https://www.yamaguchis.johas.go.jp/ryouritsushien.html
 または、当センター(電話083−933−0105)に、お問い合わせください。

★谷原章介さんが、産業保健総合支援センターを動画で紹介します
 産業保健総合支援センター及び地域産業保健センターが提供するサービスについて、俳
優の谷原章介さんがわかりやすく解説します。是非ご覧ください。
 https://www.johas.go.jp/Portals/0/sanpocenter/webhiroba.html

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■6 情報提供 ★年間掲載
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1.第14次労働災害防止計画の概要
 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001087008.pdf

2.「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」の最新版を公開します
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32795.html

3.労災疾病等医学研究普及サイト
 http://www.research.johas.go.jp/index.html
 「アスベスト」について
 https://www.research.johas.go.jp/asbesto2015/

4.新型コロナ感染症の5類への変更を踏まえQ&Aを更新/厚労省
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html

5.両立支援コーディネーターの養成
 https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1015/Default.aspx

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次の配信は8月を予定しております。
これまでのメールマガジンのバックナンバーは、下記よりご覧いただけます。
https://yamaguchis.johas.go.jp/blog/?cat=4

配信停止やメールアドレスの変更等のご連絡は下記よりお願いいたします。
https://www.yamaguchis.johas.go.jp/m-mail.html

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【メールマガジン発行者】
独立行政法人 労働者健康安全機構 山口産業保健総合支援センター
〒753-0051
山口市旭通り2−9−19 山口建設ビル4階
TEL:083-933-0105 FAX:083-933-0106
URL:https://www.yamaguchis.johas.go.jp/
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